エデン日和

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ハッピーバースデーの曲に著作権はあるのか、弁護士に聞いてみた

誕生日に歌う曲といえば、もちろん「ハッピーバースデートゥーユー」ですね。どの年代にも親しまれている歌だと思います。ドラマのワンシーンやテレビのバラエティ番組などでも歌われているため、耳にする機会も多いのではないでしょうか?

このハッピーバースデートゥーユーですが、ドラマやテレビのバラエティで頻繁に流れる一方、「曲の著作権についてはどうなっているのか」、「そもそも曲の著作権は存在するのか」疑問に思いました。私はこの疑問を解決すべく、弁護士の知り合いに聞いてみることにしました。

 

ということで、ヴァスコ・ダ・ガマ法律会計事務所の弁護士である萱野氏にメールインタビューを行いました。

 

その前に、ハッピーバースデートゥーユーという曲自体を調べてみます。ハッピーバースデートゥーユー(Happy Birthday to You)は1893年にアメリカのある姉妹によって作曲された曲が原曲となっているようです(ちなみに歌詞のほうは、1935年に登録されています)。外国の曲なので、日本の著作権法が適用になるのか、その点に関しても聞いてみることにしました。

 

―Happy Birthday to YouはMildred J. HillとPatty Smith Hillの姉妹が1893年に作曲したGood Morning to Allというアメリカの曲が原曲となっており、歌詞は1935年にPreston Ware OremとMrs. R.R. Formanが著作権を登録したようです。このような外国の曲にも日本の著作権法が適用されるのでしょうか?

 

萱野:まず、日本の著作権法の保護対象には、国内の著作物だけではなく、条約により日本が保護の義務を負う著作物も含まれます(6条3号)。
そして、日本とアメリカはベルヌ条約の加盟国であるため、アメリカの曲も日本の著作権法の保護を受けることになります。

 

ベルヌ条約とはどのような条約ですか? 

萱野:ベルヌ条約というのは、1886年にスイスのベルンで創設された著作権に関する最も基礎的な条約です。同条約は、いずれかの同盟国の国民を著作者とする著作物を保護する旨を規定しています(3条1項)。

 

他にも、外国人の著作者にも自国民と同じ権利が与えられること(5条1項)や、保護期間を原則として著作者の死後50年以上とすること(7条1項)、保護期間は保護が要求される国の法令によるとされ、その国の法令に特別の規定がない限り、著作物の本国において定められている期間を超えることはないこと(7条8項)なども定められています。

―本件の場合、保護の期間はどのように計算するのですか?

 萱野:日本の著作権法は、著作権の保護期間について、創作の時に始まり(51条1項)、著作者の死亡時から50年間存続すると定めています(51条2項)。ただし、終期を数え始めるのは著作者の死亡した年の翌年の元旦からとされているので(57条)、保護期間が満了するのは大晦日が終わるときになります。
なお、共同著作物の場合は、共同著作者のうちで最後に亡くなった著作者を基準にします(51条2項括弧書)。
 

―そうすると、Happy Birthday to Youの楽曲はHill姉妹の共同著作物で、2人のうちでは妹のPattyが1946年に姉よりも後に亡くなっていることから、50年後の大晦日である1996年12月31日に保護期間が満了したことになりそうです。また、歌詞については、Preston Ware Oremの没年が1938年なので、1988年12月31日まで保護されていたという理解でよろしいですか?

 

萱野:そうなりそうですよね。しかし、日本は第二次世界大戦敗戦国であるため、戦時加算による日数を足さなければなりません。

 

―戦時加算とはどのような内容ですか?

 萱野:戦時加算とは、サンフランシスコ平和条約15条(c)を受けて制定された戦時加算特例法によって定められている制度です。戦争の期間中、日本国内では連合国及び連合国民が有する著作権が実質的に保護されていなかったという前提に立って、条約関係にある連合国の国民が有する著作権の保護期間を一定期間延長するものです。
 

アメリカとの関係では、開戦時である1941年12月8日から平和条約発効日である1952年4月28日までの間の3794日を加算することになります。

 

よって、Happy Birthday to Youの曲は、日本国内では、1996年12月31日の3794日後である2007年5月22日までは著作権が存続していましたが、同日の終了をもって著作権が消滅したこととなります。

 

歌詞についても同様に、1988年12月31日に戦時加算をした1999年5月22日まで著作権が存続していたものの、すでに日本国内では消滅しているということになりますね。

 

萱野さん、どうもありがとうございました!

 

ハッピーバースデートゥーユーの曲は2007年5月22日に著作権が消滅していたのですね。知らぬ間に著作権が無くなっていたようです。ということで、今後は著作権フリーとして曲を使用できそうです。

 

 

聞き慣れた曲にも、著作権が存在する――。著作権についてもっと調べてみたくなるエピソードでした。